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『イン・マイ・ライフ』 吉本由美
亜紀書房(2021)
吉本氏といえば、『アンアン』『オリーブ』『クロワッサン』『エル・ジャポン』などマガジンハウスの雑誌を中心に、1970年代から最前線で雑貨・インテリアスタイリストの草分け的な圧倒的な存在。
本書では、前半に東京での若き日々のこと、後半は郷里の熊本に帰ってから現在のことが述べられています。「スタイリスト」といえば誰もがファッションしか思い浮かばなかった時代にインテリアを手がけた吉本氏の先見性・独自性は、70~80年代の東京の空気の輝きとしっかり通じていて、“カッコいい大人”として眩しい。そして44年住んだ東京を離れ、熊本に帰る時の迷いと決断には、リアリティがあります。
「人生は最終章で決まる」と言われる通り、華々しい世界に身をおいていた著者も現在は実家の修繕などを丁寧にやりながら、人とのつながりを大事にする「地味な生活」を送っているんだなぁと。しかし、その淡々とした日々にこそ輝きがあることを教えてくれる作品であり、やっぱり吉本氏はかっこいいと思わず口にしてしまった一冊です。