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『これはわたしの物語 橙書店の本棚から』田尻久子
西日本新聞社(2023)
熊本県で「橙書店」を営んでおられる店主の田尻久子さんのエッセイ。本書には書評も掲載されおり、田尻さんの視点や文体が好きな私にとっては得した気分。また不思議と、書評作品の著者は知っているのに読んだことがない本ばかり。なぜだろうと思うが、田尻さんと自分の視点の違いに改めて気付かされる。
「最後の読書」で述べておられる、“添い遂げる本”の話が好きだった。
もう残りの人生があまりないと思ったとき、それでも最後まで処分できない本のことらしい。これまでそんなことを考えたことはなかったが、自分だったらどの本になるんだろうと。田尻さんは何度も読んだ本のカバーを見ているだけで、その本のイメージが脳裏に浮かび上がると言う。私の場合はなんとなく違うような気がした。まだ開いていない本のワクワク感に包まれながら死を待ちたい。なので、できるだけカバーの美しい本をかき集めておきたい。