『さよならは仮のことば 』谷川俊太郎

新潮社 (2021)

 生々しく闇をはらみながら、心地よい風にあたり続けているような感覚。似た言い回しを繰り返し、訴えかけるような表現の「ネロ」。淡々としたリズム感が強いメッセージを放つ「死んだ男の残したものは」。誰もがどこかで聴いたことのある代表的な作品を集めた詩集。教科書で出会った詩から隠れた名篇まで国民的詩人の奇跡を一望する一冊。巻末の年譜も興味深い。