『戦争とおはぎとグリンピース 』西日本新聞社

西日本新聞社 (2016)

敗戦後、生活様式が急激に変化する時代の喜びや不安を発する受け皿として、西日本新聞社が女性投稿欄「紅皿」を開設。昭和29年から10年間に寄せられた投稿は3,000を超えていたそうだ。本書は、それらの投稿より「空襲」や「赤紙」など戦争に関連する言葉が書かれた名文42編が収録されている。

およそ600文字という制限の中で、当時の空気やにおいまで伝えてくる。一般の方の投稿とは思えないほど、どれも見事な書きっぷり。

真の愛国心とは、国土を愛し、国民を愛することだと思います。もっと身近な言葉でいえば、吾々(われわれ)の田畑を愛し、吾々の生活を愛し守ることではないでしょうか。過去の愛国心は、政府の特定政策への絶対的忠誠を愛国の美名の下に強いられ、盲従させられていた国民感情の麻酔剤でしかありませんでした。その結果は、真の愛国心とは全然逆な生活の破壊でありました。――本文より

時代に翻弄されながらも女性がいかに強く、たくましいかを実感させられる。戦禍の足音が忍び寄る今こそ、読まれるべき作品ではないでしょうか。