『とかげ』吉本ばなな

新潮社(1996)

身近な人の死を経験したことで吉本さんの本が無性に読みたくなり、随分昔の本を手にとりました。

孤独や悲しみは癒えることはないかもしれないが、それでもいいとなぜだか思えてしまう。励まされることにも嫌気がさし、心が閉ざされていくことに気付いたとき、吉本さんの小説は特効薬のように効いてくる。そして読み終えたときには、相手は目の前にはいないけれど「あなたに出会えて本当によかった」と、そう思える自分がいる。