『人体模型の夜』中島らも

集英社(2022)

らもさんの著作のなかでエッセイ以外は、これがはじめて。それもホラー小説。とは言え、らもさんが描くホラーなんて、どうせホラーじゃないだろうなんて勝手に決めつけていた私がバカでした。

本書は、人体の「眼、血、鼻、耳、脚、膝、臍、腕、骨、胃、乳房、性器」12のパーツをモチーフにした短編集。なんせ文章がお上手すぎて、スルスルと脳内でビジュアル化されてしまうのがつらいくらい。グロテスク!ーー途中でやめたきゃ、どうぞ〜なんだろうけど、読み終えないと損するって気持ちにさせるのがさすが、らもさんです。

個人的には『膝』と『ピラミッドのへそ』がひぇーとなりました。人間の心理をうまく使いながら恐怖に運んでいきます。