『贈り物の本』牟田都子

亜紀書房(2025)

「あなたの忘れられない贈り物はなんですか?」

そう突然尋ねられても、すぐには思い浮かばない。

でも本書を読み進めていくうちに、これは急いで答えるものではなく、

ゆっくり思い出すものなのだと気づきます。

この本を手に取ったのは、編集が校正者の牟田都子さんだったから。

さらに装丁は、執筆者としても参加されている名久井直子さん。

なんて贅沢な一冊なんだろうと思いました。

むしろ、この本そのものを誰かへの贈り物にしたくなるほど。

作家、詩人、ミュージシャン、俳優、漫画家など、

37名の書き手が「忘れられない贈り物」を綴ったエッセイアンソロジー。

たったひとつの贈り物を、こんなふうに言葉にできるのは素敵だなと思いました。

なかでも印象に残ったのは、フリーライター鈴木智彦さんの「ヤクザと贈り物」。

ハラハラしながら読み進め、最後は胸をぎゅっとつかまれて、思わずほろり。

贈り物というのは、モノだけではない。

出来事だったり、言葉だったり、

もしかすると、そのとき流れていた時間そのものかもしれない。

あなたの忘れられない贈り物はなんですか。