『ミトンとふびん』吉本ばなな

新潮社 (2021)

吉本ばななさんは大好きな作家さんの一人で、新刊が発売されると必ず手にしています。表紙カバーにも注目しているひとつで、今回の装丁は #仁木順平 さんだそうです。本書は、人生の喜びにあたたかく包まれるような6編による短篇集。

「愛は戦いじゃないよ。愛は奪うものでもない。そこにあるものだよ」そう発する言葉の裏には愛の戦いに敗れ、愛を奪われ、また大切なひとの死、癒えることのない喪失を抱えて生きていく――。凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で……。

いつもなら一気読みしてしまうところ、少し時間をかけて読み切りました。「あとがき」にも書いてあったように「読んだら心が少しだけ静かになった」ような気がします。自分では気づかないうちに少し疲れているのかもしれないと……。