『十二の真珠』やなせたかし

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復刊ドットコム(2012)

多くの子どもが「アンパンマン」を見ると喜びます。1歳の子どもでさえ、アンパンマンを差し出すと嬉しそうに手をのばしてきたり…。その魅力が何かは明確には分かっていないかもしれませんが、コテンラジオの「やなせたかし特集」でアンパンマンの意味やその哲学に触れ、アンパンマンがどのヒーローよりもヒーローだなぁと思ってしまったほど。

そこで手に取ったのが、アンパンマンの原点ともいえる『十二の真珠』です。この本は1963年に雑誌「PHP」からの依頼で一年間連載された短編童話で、その連載が完結した後、単行本としてサンリオ社から出版されたそうです。本書は宣伝なしで七版まで重版されましたが、その後絶版となり、2012年に復刊されました。

『十二の真珠』の12編は、王子さまとお姫さまが出てくるような典型的な童話ではありませんでした。例えば、アンパンマンは初めは「あんぱんの顔」ではなく「人の顔」でした。ネタばらしになりますが、子どもを助けて飛んでいるところを飛行機とまちがえられ、高射砲で撃たれてしまう…という衝撃的な結末。

やなせたかしさんの背景や哲学を知ってから読むと、これらの物語に込められた深いメッセージに気付かされますし、アンパンマンファンではない方にも読んでほしいと思った一冊です。

――なんのために生まれて、なにをして生きるのか