『橙書店にて』田尻久子

晶文社 (2019)

熊本の路地裏にある「橙書店」。本屋であり、喫茶店であり、ギャラリーでもある。ちいさな店に集うお客さんを店主はそっと見つめ、書棚のむこうの声に寄り添う。石牟礼道子さんが亡くなった日に「ただただ悼みたい」と訪れた人。縁あって催すことになった「村上春樹朗読会」。雑誌『アルテリ』に寄稿したハンセン病患者「関さん」と交わした握手……など33篇の物語。著者である田尻さんの感性がとても素敵です。