『私の猫たち許してほしい 』佐野洋子

筑摩書房 (1990)

『100万回生きたねこ』で有名な著者の自伝的エッセイ集14篇。幼い頃を過ごした北京、絵を学んだベルリン、引き上げ後の日本での生活、苦学の連続の学生時代、そして留学時代―。見たまま感じたままを描いた詩のような心地よいエッセイ。なかでも「はるかなる男友達」は、くっくと笑わせてくれるところと、切なくなるところが入り混じっていて好きでした。著者のことばは、なにひとつ飾らない。まっすぐで、うそ偽りのない気持ちをストレートにぶつけてきます。こんな風に生きてみたい……と思わせてくれる一冊です。