『彼女たちの部屋』レティア・コロンバニ

早川書房 (2020)

『三つ編み』に続くレティア・コロンバニの長篇小説。

舞台は現代、パリ。弁護士のソレーヌは仕事の失敗で大きな挫折を味わい燃え尽き症候群となる。そのセラピーの一環として、ある保護施設の代書人のボランティアをはじめるが、自分とはまるで異なる境遇にいる居住者たちに戸惑う。その施設に身を寄せるのは女性のみ。その理由は様々で、暴力、貧困、差別のせいで住居を追われた人たちばかりである。その一人ひとりから話を聞き、手紙を綴りながら自分の役割を見つけ出す。

また、その施設が設立された約100年前のパリ。そこでは、救世軍のブランシュが街中の貧困と闘っていた。路頭に迷うすべての女性と子どもが身を寄せられる施設をつくる――といった使命感で、彼女は財界人をも動かす。

実在する保護施設と創設者を題材に、時代を超える女性たちの連帯を描ききっている。まさに一気読み。