『弓を引く人』パウロ・コエーリョ

KADOKAWA (2021)

弓道の達人による少年への導き――。『アルケミスト』の著者、パウロ・コエーリョがなぜ、弓道を題材にしたのかと不思議だったがすぐにその疑問は消え去り、いつの間にか自分は静謐な弓道場で正座をし、師の言葉に耳を傾ける姿勢に……。対象を敬い、弓を引き絞り、全身全霊で矢を放つ。弓は心身の状態、矢は行動に喩えられる。「矢は意図そのもの」の記述に、はっとさせられる。

思い通りにいかないことが続くと、一点集中がむずかしくなる。姿勢を正し、平常心を保つために深く呼吸する。自分にはこれしかない――という強い意思を隠さず貫きたいと思わせてくれます。

また、歌を歌う人、物語を話す人、人生に喜びを感じる人、目が輝いている人と友だちになりなさい。なぜならば、喜びは他の人々に伝染し、周りの人が落ち込んだり、孤独になったり、困難に出遭って動けなくなったりするのを防ぐからだ――と。