『錦繡』宮本輝

文藝春秋 (2014)

運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会。互いに過去を流しきれず、それぞれの思慕を往復書簡で炙り出す。会って話したのでは伝えようもない心の傷を14通の手紙が、それを書き尽くした。何より著者は男性であるのに女性の心理の捉え方に感服。宮本さんの美しい文体に触れることで日本語の奥深さを痛感しました。