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『ルリユールおじさん』いせひでこ
講談社 (2011)
心に響く「大人の絵本」を探していた中、真っ白なスケッチブックに描かれたとても美しい絵本に出会いました。著者がパリにアパートを借り何度も通った路地裏の工房が舞台。優しい色合いは寂しさも連れ込みますが、物語の深さが心をうちます。
ルリユールとは、主にフランスで製本・装幀を手作業で行う職人を指す言葉だそうです。物語は、少女ソフィーがばらばらになった植物図鑑を修理してくれる場所を探すところから始まり、やっと見つけた先は製本職人のおじいさんがいる工房。手仕事の製本技術や父から子へ受け継がれた職人の手をみて少女は何を想像していたのだろう。ルリユールによって生まれ変わった植物図鑑を目にして抱きしめながら呟いた一言に「そうよね…」と思われた方は多いのではないでしょうか。
何度も何度もページをめくり、その世界にのめり込んだ大切な本。新しく買い替えてしまったら全くの別物になってしまうことを少女はわかっていたのです。本を愛する人に贈りたい一冊でした。