『百花帖―もっと知りたい 近づきたい100の花たち。』雨宮ゆか

高齢者の方から散歩で見つける花のことを知りたい――とお聞きしたことで選書した一冊です。挿花家である著者が季節に添って100の花を紹介。野に咲いている目立たぬ花も楚々とした花器に挿すと華やかになり真似をしたくなります。

好きな花は？　と聞かれて、即答できたためしがない。迷っているうちに、まあ、どれも好きなんですとあいまいな答えになってしまうが、あらためて考えてみると、菫（スミレ）かもしれないと著者は言う。その理由もなるほどなぁとなりますし、菫の特徴をいかした生け方も丁寧に解説しています。

いわゆる花図鑑とは違って花に対する想いも感じられ、身近な花と暮らすというささやかな喜びを得ていただけるのではないでしょうか。