『死ぬより老いるのが心配だ 80を過ぎた詩人のエッセイ』 ドナルド・ホール

辰巳出版(2022)

アメリカの詩人であり、またエッセイや児童文学なども数多く出版されているドナルド・ホール。本書は、老いに伴う身体的な変化や精神的な変化、そして時間の経過による喪失感や孤独感など、老いというテーマに真摯に向き合いながら、人生の深さを伝えている一冊です。

「老いは喪失の儀式」――彼にとっての問題は死ぬことではなく、老いること。けれども、47歳や52歳で死ぬよりも老いることの方がまだましであると……。一人では何もできなくなったときに、自分は果たしてそう言えるのだろうかと思う。まだもう少し先のことにはなるけれど、本書のような一冊との出会いで「理想の老後」とは何かを考えさせられます。