『ピエタ』大島真寿美

ポプラ社(2014)

一言では言い表せない“シスターフッド”の壮大な物語。

この本を手にしたきっかけは、憧れの小泉今日子さんが舞台の会社を興すきっかけにもなった小説と知り、これはぜひ読んでみたいと思いました。

物語は18世紀のベネチアが舞台。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児を養育する「ピエタ慈善院」で合奏や合唱の娘たちを指導していました。そして時が流れ、かつての教え子であるエミーリアのもとに、恩師であるヴィヴァルディの訃報が届くことから物語が始まります。そして一枚の楽譜の謎によって、ヴィヴァルディに縁のある女性たちが導かれていくのです。

ピエタで育ち、あらゆる運命に翻弄されながらもピエタのために強く生きるエミーリア、貴族の娘ヴェロニカ、高級娼婦のクラウディタ、薬屋のジーナ……

立場が違っても助け合いながら、歳を重ねるごとに女性の友情の絆はますます深まります。最後に謎だった楽譜の意味が明らかになったとき、言葉を失うほど。一度読み始めたら、止まらない。まさにそんな一冊です。