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『この場所であなたの名前を呼んだ』加藤千恵
講談社(2021)
消えてしまいそうな命――
新生児仮死で生まれてきた子
染色体異常を持って生まれてきた子
その子たちにかかわる看護師、臨床心理士、医師、そして親。医療現場「NICU(新生児集中治療室)」を舞台にした連作長編小説です。
ただえさえ出産後の疲労ははかりしれない。
しかし我が子に出会えた瞬間
その疲れは消え去り、喜びに満ち溢れる。
これが普通の母子の光景なはず。
だが、ここは違う。
産まれてきた我が子を抱くことも、母乳をあげることもできずに、ただ我が子を見守るしかできない。それでも、保育器の前に立つ親の表情が柔らかくなることがある。彼らは自分の表情の変化にも気づかずに、目の前の最愛の存在を、ただ見つめている瞬間があると――。
そんな親子に立ち会う医療従事者たちの強い想いに涙が自然と溢れてきます。