『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―』川上未映子、村上春樹

新潮社(2019)

本書は、村上春樹氏が『騎士団長殺し』を出版された直後に、村上文学を愛する川上未映子氏がインタビューされた一冊です。インタビューと表現すると、何だか軽い印象を受けるかもしれませんが、時折文学者同士の対決のような緊張感が漂い、ハラハラとさせられる瞬間があります。そんな場面とは裏腹に、村上氏が自身が書かれた昔の本の内容を忘れてしまい、川上氏の鋭い質問に「そんな話だった?(笑)」「はい、そんな話です」と、なんだか肩をすかされたような場面もあって楽しめたりもします。

村上氏の作品に対する思考や流儀、倫理などが、川上氏によって十分に引き出され、ものすごく堪能しました。また、川上氏の村上文学における深い研究には頭が下がり、ますます村上文学への愛着が深まったのは言うまでもありません。あとがきでは、村上氏が川上氏からのインタビューについて感想を述べており、最後の最後まで満たされました。