『読むことの風』 アサノタカオ 

サウダージ・ブックス(2020)

「これ、オススメ!」と書店主に手渡されたとき、なんて素敵な装丁なんだろうと…。調べてみたところ、こちらの装画はnakabanさんによるもので、見返しのブルー紙も好みの色。また本紙に挟まれた著者であるアサノタカオさんと夏葉社の島田潤一郎さんの対談「ことばは個人的なちいさな声を守るもの」も味わい深い内容でした。

本書は、アサノさんが世界各国を旅しながら経験したことや感じられたことを綴っておられます。特に、彼が書くプロセスのなかで「ひとり」という状態がもたらす創造的な孤独や豊かさに焦点を当てており、一ページ一ページをじっくり味わいながら読み進めました。

海は、ひらかれた書物に似ている。はるかな水平線から、押し寄せて引き返す波は、まるで潮風がひるがえすページ。ぼくは古い靴を脱いで、波打ち際に立って足を水に浸し、海が届ける物語をくるぶしで感じ、物語の別れをくるぶしで知る。(P.040)

より深い自己探求の旅へと誘う一冊だったような気がします。