『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』ファン・ボルム

集英社(2023)

本書は、ソウル市内にある小さな本屋さんの物語です。実は私にも同じ町内にお気に入りの本屋さんがあり、そこの店主とは何時間も話をしてしまうほど。選書が私好みであり、また子どもからお年寄りの方にも親しみやすい本までも揃えているので、常に書棚はぎゅーぎゅー状態で本が溢れています(その感じがすごくいい)。そして時々、びっくりするような作家さんも訪ねて来ます。

このヒュナム洞書店の新米女性書店主は、これまでのキャリアを捨て(捨てざるを得なかった)、小さい頃からの夢であった本屋を営みはじめます。そのなかで、「幸せとは何か」や「働くことの意義」などを一緒に働く仲間やお客さんを通して深く考えるきっかけを読者にも与えてくれます。

思い返すと、私が前述した本屋に足を運ぶときはいつも、自分のなかですっきりしていない時や疲れている時のような気がします。本の仕事をしながらも、別空間の本屋に向かう――そして選んだ本について店主と話をしているだけでモヤモヤが消えていることが多いです。そういう意味でも、この物語はとても身近に感じ、言葉一つひとつに重みを感じました。