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『きみはポラリス』三浦しをん
新潮社(2011)
普段は「恋愛小説」とはっきり謳われている本をあまり手に取らないのですが、この作品は「三角関係、同性愛、片思い、禁断の愛……」といった様々な恋愛のカタチが短編集として描かれていると紹介されていて、手軽に読めそうだと思い手に取りました。それに、『舟を編む』の著者である三浦しをんさんが恋愛をどのように描くのか――興味があったのも理由の一つです。
恋愛は一つとして同じ形がないと個人的には思いますが、この短編集の中では特に「秘密の恋愛」というテーマが印象的でした。誰もが一度は抱えたことがあるかもしれない、心の奥にそっとしまった感情。それは片思いも含め、言葉にできないからこそ特別なものとして記憶に残るのかもしれないなぁと。
特に最後の「永遠に続く手紙の最後の一文」を読んだとき、その一文が物語全体を通して一つに繋がる感覚があり、ハッとさせられました。切なさと希望が同居するような読後感が心に残ります。