『遺言: 対談と往復書簡』志村ふくみ & 石牟礼道子

ちくま文庫(2018)

魂を込めて新作能「沖宮」を紡ぐ
石牟礼道子さん。
その能衣装を手がける染色家
志村ふくみさん。

2011年3月から2013年5月まで、
およそ2年にわたって交わされた往復書簡と対談は、
80歳を超え、それぞれの道を極めた二人の魂が
静かに触れ合っていく時間のようだ。

その間に、志村ふくみさんの娘・洋子さんの解釈が添えられ、
読者は、二人の思考の奥へと導かれていく。

―――
石牟礼さんの詩
「幻のえにし」にある
「われより深く死なんとする」
という言葉。

それは
深く生きて
深く死ぬ、ということなのか。

それとも
生そのものが
すでに死の中にあり、
死は
その生を受け入れる器なのか。
―――

生と死、創作と祈り、
人が人として生き切るということ。

本書は、
「遺言」という題名でありながら、
終わりの言葉ではなく、
生を最後まで引き受けるための言葉だったように思う。